高血圧の発症には、他の疾患が原因でない場合、運動不足や食生活の乱れ(塩分、糖質、脂質等の過剰摂取、野菜不足)が大きく関与しています。従って、良い生活習慣を継続することにより、この大部分を予防できます。
高血圧と診断されれば、各個人の状態に合わせて治療薬が用いられます。しかし、治療薬は、根本原因を解消するものではないため、予防と治療の両方に好ましい生活習慣の基盤が必要です。
近年、血圧を下げる食品成分が注目を集め、特定保健用食品(トクホ)などが利用されています。ローヤルゼリーについても、タンパク質を分解して得られた“ペプチド(アミノ酸が繋がったもの)”を含む食品が開発され、ヒトの高血圧改善について研究されています。
血圧が高めのヒト(正常高値血圧、Ⅰ度(軽症)高血圧; 16 ~ 17 人/群)にローヤルゼリータンパク質加水分解物(500, 1000, 5000 mg/日)を4週間摂取させたところ、偽薬(ローヤルゼリーを含まないもの)と比べて、1000 および 5000 mg/日の摂取群において血圧が摂取量に比例して低下しました3)。
別試験では、血圧が高めの人(正常高値血圧、Ⅰ度(軽症)高血圧; 53 ~ 54 人/群)にローヤルゼリータンパク質加水分解物(1000 mg/日)を、12 週間摂取させたところ、偽薬と比べて、10および12週間後に血圧が低下しました。試験食品による有害作用は見られず、摂取終了後に摂取前より血圧が高くなるリバウンド反応も見られなかったことから、このローヤルゼリーは、安全で穏やかに高血圧を低下させると結論されています4)。
ローヤルゼリーのタンパク質加水分解物中に含有される成分を分析した結果、2 ~ 3 個のアミノ酸からなるペプチド(イソロイシルバリルチロシンなど)が発見されました5)。これらは、血圧を上昇させる重要な酵素(アンジオテンシンI変換酵素)の活性を抑えることにより、降圧作用に寄与すると考えられています6)。高血圧症の改善には様々なメカニズムがあり、今も多様な観点から研究されています。
このような機能性食品を上手く活用することも、一つの方法ではないでしょうか。