女性ホルモンの分泌低下により、女性は急速に老化の兆候が現れてくる。特に、婦人科領域では、皮膚の変化、外性器の変化、膣萎縮、膀胱の容量 の減少、骨粗鬆症などの変化が臨床的に、観察される。中でも、膣の萎縮は、ほぼ全ての婦人に現れる変化である。 今回の研究では閉経後5年以上経過した老齢婦人の膣細胞診を検索し、その細胞像が年齢に比較して分化している。つまり若いと判断された症例を選び出し、それらの症例の中に、ローヤルゼリーの服用例がどれだけ含まれるか疫学的に検討した。
約1年6カ月の疫学的調査から、閉経後5年以上経過した高年齢の婦人で、膣の細胞が年齢以上に分化する傾向を示した女性131例には、全例において何らかの薬剤あるいは健康食品の服用が認められた。この中でローヤルゼリーの占める割合は8.4%(11/131例)であった。
ローヤルゼリー服用例ではmaturation indexの平均値が傍基底細胞13/中層細胞71/表層細胞16であり、年齢、身長、体重をマッチさせた対照のmaturation indexの傍基底細胞97/中層細胞2/表層細胞1に比較して、傍基底細胞の減少、中層細胞の増加が観察された。しかし、表層細胞の増加は顕著でなく、細胞膜の変化としては分散型の変化と捉えることができた。従って、ローヤルゼリーの服用により、膣の細胞は確かに分化する傾向を示したことから、ローヤルゼリーには膣細胞に対する分化促進作用があると推察された。
このことは、臨床的な観察でも確認することができた。コルポスコピーなどによる観察から、ローヤルゼリー服用例での膣や子宮膣部の表面 は年齢に比較してきれいであり、透明な帯下により湿潤している様子を観察することも可能であった。また、ローヤルゼリーの服用例では皮膚の透明度もよく、老人性のシミも目立たない症例も認められた。