ローヤルゼリーは、慢性疲労や高脂血症に有効であると報告されているが、著者らは、抗腫瘍効果及び抗転移効果があることを認めた。そこでローヤルゼリーのエーテル可溶画分について検討した結果、aFGF(1mg/ml)及びヘパリン(64U/ml)含有Matrigelの皮下移植後の血管新生を抑制することが明らかになった。しかし、このエーテル可溶画分をLLC細胞移植マウスに経口投与したが、原発腫瘍の増殖は抑制されたが、肝臓への癌転移に対しては抑制作用を示さないことが明らかになった。このような事実は、ローヤルゼリーのエーテル及び酢酸エチル可溶画分以外に、抗腫瘍及び抗転移作用をもつ成分が存在していることを示している。
そこで、エーテル及び酢酸エチル画分以外のアセトン可溶画分について検討した結果、このアセトン可溶画分に抗腫瘍及び抗転移効果が認められた。更に、アセトン不溶画分について検討したが、この画分には、抗腫瘍及び抗転移効果は認められなかった。従って、ローヤルゼリー中のルイス肺癌移植マウスにおける抗腫瘍及び抗転移作用の物質は、アセトン可溶画分に存在している可能性が高く、その作用機構も癌による血管新生抑制作用によるものと思われる。現在、アセトン可溶画分から、抗腫瘍及び抗転移作用をもつ物質の単離を心がけている。