人間とミツバチの歴史はとても古く、紀元前6000年頃に描かれたスペイン東部のラ・アラーニャ洞窟の壁画には、壺を片手に蜂蜜を採る人物とその周りを飛び交うミツバチの様子が描かれています。
ローヤルゼリーとして初めて登場するのは、アリストテレスの時代と言われ、これは今から約2400年も前のことです。アリストテレスは古代ギリシャの優れた哲学者で、多くの本を執筆しましたが、その中の『動物誌』には「濃厚な蜂蜜に似た淡黄色の柔らかいもの」という記述があり、これがローヤルゼリーを指していると考えられています。
しかしアリストテレスはローヤルゼリーと女王蜂の関係を正確には把握できなかったようです。ローヤルゼリーを食べて女王蜂になる幼虫は非常に小さく(約1ミリ)、体色が薄く、また王台にたっぷり貯められたローヤルゼリーに紛れていてとても見つけにくいのです。そのためアリストテレスは、女王蜂は他の蜂のように卵から生まれるのではなく、ローヤルゼリーがそのまま固まって女王蜂になると考えていたようです。顕微鏡など無い2400年も前のことですから仕方ないかもしれませんね。
ローヤルゼリーが初めて「ローヤルゼリー」と呼ばれるようになったのは、今から約200年前のことで、スイスの盲目のミツバチ研究者、フランソワ・ユベールが出版した「蜜蜂の新観察」の中で「ゼレー・ロワイヤル」と記載されたのが最初だと言われています。
人間は何千年もの長い間ミツバチと関わり合い、その長い歴史の中でローヤルゼリーに魅了されてきた多くの人々がいたことが窺えます。